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仕事を辞めるのは根性なしだからじゃない
YAHOO!ニュースで昨日、今日と過労死についての記事を見つけました。
昨日はSE(システムエンジニア)の息子さんを亡くしたお母さんの記事、今日はNHKの記者だった娘さんを亡くしたご両親の記事で、どちらの記事を読んでも今もなお苦しんでいる親御さんの気持ちが痛々しくて、読み続けるのが辛くなりました。
亡くなったお二人に共通するのは、仕事を頑張って続けたいという気持ちだと思いました。
続けたい理由はそれぞれだとは思いますが、とにかくひたすらに頑張った結果、命を燃やし尽くしてしまったのかな、と悲しくなります。
今でもまだまだ何かというと根性なし、という言葉が聞こえますが、根性ってなんでしょうか?
死ぬところまで頑張れば、根性あるというのでしょうか。
そんなことありません。
そこまで頑張っている人がいれば、周りの人は止めなければいけません。
もう十分頑張った、立派だ、根性あるって、言ってあげてほしいのです。
だって、人間そこまで頑張りつくしてしまったら、もう限界を超えているかどうかも判断できなくなってしまっていますから・・・
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誰にでもその危機は訪れる
私は仕事、大好きです。
今までいろいろな職種の仕事に就きましたが、どの仕事にも違った面白みがあって、その会社が好きかどうかは別として、楽しくて仕方ないという感じで仕事をしてきました。
そんな私でも、自分でもどうすることもできない状況、というものにぶつかったことがありました。
簡単に言ってしまうと、それは人間関係でした。
今勤めている会社はシステム開発がメインだったので、SEクラスでないと正社員で雇ってもらえませんでした。
システム開発なんて全くわからない経験もない私は、面接時に何度もお願いしましたが、やはり正社員ではなく契約社員での採用となりました。
面接の時に社員登用制度があることは聞いていましたが、最終面接で会った上の役員の人たちの中には、そんなに簡単になれるわけない、というあからさまに人をバカにした態度を取っている人もいたので、そういう態度を取ったことを絶対後悔させてやる、という気持ちで仕事をしてきました。
1年目の終わり、直上の上司に「大したもんだ!!」と言わせた時は、勝った、と思いました。
でも会社側は特例を出したくないという理由だけで、正社員への飛び級はできず1ランク上がったのみとなり、正社員になるにはあと2年かかることが決定的になりました。
あと2年頑張れば。
その思いだけで走り続けて更に半年ほど経った頃、自分でもどうしてそうなってしまったのかわからないほど、仕事はミスだらけでわかっていたことでも急にわからなくなってしまったり、今までできていたことができなくなってしまったのです。
ミスをするので怒られる、間違えないようにと気を付ければ気を付けるほどまたミスを重ねて怒られる。
仕事は溜まっていく一方だったので残業しているとまた怒られる。
とうとうその人に何か言われると、頭がワーッとなって何も頭に入って来なくなりました。
ちょうどその頃会社の保健士さんと会議で顔を合わせるようになり、酷い貧血を指摘されて面談することになりました。
貧血で面談になったのに、なぜそんな話になったのかも覚えていませんが、娘が頭痛のために精神科にかかり始めていることも話していたので、娘さんよりも先にお母さんだよ、と言われて娘と同じ先生にかかることになりました。
何度か診察を受け薬ももらっていましたが、先生は病名を言いませんでした。ただ、病気ですよ、としか。
何も状況が変わらないので、本当は病気じゃないんじゃないか、と疑い始めた私は、ある日先生に本当に病気ですか?病気だとしたらなんという病気ですか?と聞きました。
適応障害、と言われた時、聞いたことはある程度の知識だったため、ここでも受け入れることができず、インターネットで何度も何度も調べて、ようやく自分が病気であることを認識しました。
私は絶対に正社員になるんだと、先生にも会社は絶対休まないと言い、少しずつ薬は増えていったもののなんとか仕事を続けていました。
会社にはひたすら病気を隠して、やっと正社員になった時、私は上司に病名を告げました。
私が病気になった原因の人とはずっと隣同士で、今までどんなに席替えを上司に訴えても替えてくれなかったのが、タイミングよく年度の切り替えだったこともあり、1週間もしない内に席替えとなりました。
席替えできなかったのには理由がありました。
その人の隣に座る人は、みんな必ず精神を病んで会社を辞めていったからです。
担当する仕事もガラッと変わり、また同じ部署に以前適応障害だった人がいていろいろと気遣ってくれたこと、原因の人が他の部署に異動になったことで私はやっと元の私に戻ることができました。
でも、私はその人を責めるつもりもないし恨んでもいません。
彼女もまた被害者の1人であることが、正社員になってわかったからです。
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SEは誰でも1度はうつ病になる?
私が今の会社に入るきっかけになったのは、妹の夫が勤めていて募集があることを教えてくれたからでした。
だからと言って何か特別に優遇されたわけではなく、普通に試験も面接も受けたので、普通に採用されたと思っています。
義理の弟は平社員ではありましたが、当時の社長にとても気に入られていたので、最終面接ではもしかしたら手心が加えられていたかもしれませんが・・・
その義理の弟は、現在躁うつ病と診断され、9月末まで就業停止となってしまいました。
私が入社した当時、同じ部署の人がSEやプログラマーは誰でも1度はうつ病になると言っていました。
入社してから今まで、私の部署では精神的な病に罹った人は確かにいましたが、うつ病と診断された人はいなかったので、きっと何も知らない私に大袈裟に言ったのだろうと思っていました。
でも実際身内がそうなってしまうと、その言葉もまんざら嘘ではないような気がしてきます。
開発する人がどれだけ大変かは、仕事の内容にしても勤務状況にしても、今は私でもよくわかっています。
義理の弟は仕事の大小はわかりませんが、直前まで12個も案件を抱えていました。
何もわからない人でも多すぎると感じるのではないでしょうか。
それを、何かあれば言うように、くらいに声を掛け、何もしなかった義弟の上司のあり方を知った時、私の上司だけじゃなく他もみんなそうなんだと悟りました。
上司に大変だと言えばいいですよね(私は言い続けていました。却下され続けましたが)。そういう管理能力がないことが、そもそも問題ですよね。
でも、そうではありません。義弟は既に、何かあったら言う、という判断すらできない状態になっていたのです。
どんなに福利厚生がしっかりしていても、働き方改革を行っていても、結局のところ社員は使い捨てなのだ、と私が思うには十分でした。
じゃあそんな会社すぐ辞めればいい、と思いますが、子供がいて生活をしていかなくてはいけない人は、そう簡単には会社を辞められないのも事実なのです。
会社で働く以上、主導権はいつも会社にあります。
結果を出す事だけが命の会社は、人の事情など考えず査定によって平気でボーナスを下げます。
妹は次のボーナスは期待できないと、夫の分まで今必死で働いています。
わかっているからこそ、そんな会社辞めなよ、と私も言えません。
それでもあえて言いたい。それでも自分の命の方が大切だよ。健康で生きてさえいれば、なんとでもなるから。
健康を維持できない会社を、仕事を、続けていくのは根性なんかじゃない。
根性はもっと違うところで持つべきだ、と。