思わぬ病気で気付いた乳がん手術後のリハビリの重要性

リハビリ

乳がんの手術後は病院からリハビリについての書類をもらい、手術後すぐから簡単なリハビリを始めます。

まだ痛みが残る状態でリハビリを始めるのは苦痛ですが、今後の生活を考えて最初の頃はしっかりリハビリに取り組む方がほとんどだと思います。

私もそうでした。

でもある程度腕が動くようになった時、私は仕事へ復帰したこともあり、全くリハビリをしなくなっていました。

なんの問題もなく普段の生活を送っていた私は、ある日肩の激痛で全く腕を動かせない状態になりました。

その症状は「石灰沈着性腱板炎」というものでした。

今回の症状は誰にでも起こることではないと思います。

ただ、もう二度とこんな思いはしたくない、と私は思っています。

もしリハビリはいつまでやればいいんだろう?と思っていたり、毎日の生活に追われリハビリをしなくなっている方がいれば、リハビリをしないとこんな症状が起こることもあるんだ、ということを知っていただきたいと思い、まとめてみました。

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私の乳がんの手術について

病院,病室,手術

まずは私の乳がんについて説明したいと思います。

私が乳がんと診断されたのは、一昨年の10月でした。

診断と手術の内容については、次のとおりです。

  • 診断    非浸潤性乳管癌(右)
  • ステージ  0
  • 手術1回目 部分切除術、センチネルリンパ節生検
  • 手術2回目 全摘出手術、同時再建手術

今年(2019年)4月の終わりにエキスパンダーとシリコンを入れ替える、形成外科での手術を控えています。

私の乳がんは転移しない大人しい癌と言われていて、当初は見つかった部分だけ切除すれば放射線治療も不要だと言われていました。

センチネルリンパ節生検で転移も見られずそのまま終わる予定でしたが、病理検査の結果、同様の癌が点在していることがわかり、全摘手術を行うことになりました。

昨年11月の中旬に全摘手術と同時再建手術を行いましたが、最初の手術も2回目の手術も経過は良好でした。

1回目の手術ではドレーンを入れることもなく、リハビリが必要ないほどすぐに腕を今まで通り動かすことができました。

2回目の手術はドレーンが入っていましたが、術後1週間でドレーンも抜けその翌日には退院しています。

どちらの手術でも回復が早かったので、自分でも手術をするということの重大性をどこかで軽く考えていたのかもしれません。

私の乳がんの体験談は次にまとめていますので、よろしければご覧ください。

乳がんの体験談はこちらから

私がやっていた乳がん手術後のリハビリ

腕のリハビリ

乳がんで入院すると、リハビリの方法を病院から書類などでもらい、看護師さんからも説明を受けます。

私はパンフレットのようなものをもらい、そこにはリハビリの方法のほか、リンパ浮腫の予防、退院後の生活や下着について書いてありました。

リハビリは、手術当日からドレーンが抜けるまではじゃんけんやボールを握ったり、指を1本ずつ折り曲げる運動と、肘の曲げ伸ばし運動でした。

ドレーンが抜けてからは腕を前方と側方へ挙げる運動、手術をしていない方の腕を挙げて手が届く1番上にマークを貼り、両手で壁に沿って腕を伸ばして1日毎に手術した側の手の届く高さを上げていく運動、肘の高さを90度以上まで上げる肩関節の運動でした。

正直にお話すると、1回目の手術ではリハビリらしいリハビリはしていませんでした。

手術前と全く変わらず動かすことができたので、動かすことを意識していた記憶もほとんどありません。

このことも今回の症状を起こした原因なのではないかと、今は後悔しています。

2回目の手術後は、さすがに今まで通り腕を動かすことはできませんでした。

入院中や退院してからも、忘れてしまった時以外は毎日きちんと行っていました。

仕事へ復帰したのは手術してから2ヶ月弱経ってからですが、その頃には痛みもほとんど気にならなくなり、手術をした側の右腕も、突っ張る感じや若干の痛みはあったものの、左腕の挙げられる高さより1〜2cm下くらいまでは挙げられるようになっていました。

生活にはなんの支障もなかったため、どこかで「このくらいであればリハビリももういいかな?」と思っていたような気がします。

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乳がん手術後仕事へ復帰してからのリハビリ

デスクワーク,パソコン

仕事へ復帰してからは、思い出した時にちょっとする程度しかリハビリをしなくなっていました。

とにかく疲れてしまっていたからです。

1日中パソコンを操作するデスクワークで、体を使うような仕事でもなかったのですが、手術をし、その後家でマイペースに生活していたことで、自分でも思っていた以上に体力が落ちていました。

頭の中からは「リハビリ」という言葉はすっかり消えていて、毎日人に迷惑をかけず仕事をすることばかり考えていました。

それでもこの頃は思い出して慌ててやるくらいは、リハビリについての意識はありました。

仕事に復帰してから1ヶ月も経たない頃には仕事をするだけの体力も戻ってきて、手術後の痛みも下着の締め付けで痛むくらいにしか感じなくなり・・・

いつしかリハビリのことは全く考えなくなっていました。

そして全摘手術からちょうど4ヶ月後、右肩に変な痛みが出たのです。

何もできなくなる程の痛みだった石灰沈着性腱板炎

痛み,悩み

痛みの原因は「石灰沈着性腱板炎」でした。

整形外科の先生は「石灰沈着症」と言っていたのですが、帰ってからネットで調べると、正式には「石灰沈着性腱板炎」ということがわかりました。

私に起こった症状と、治療や原因についてお話したいと思います。

私の症状

雨,辛さ

右肩が痛くなった当日は、痛みを我慢して仕事をすることができました。

同僚とも四十肩かな?と話せるくらいの余裕はありました。

でも翌日になるとちょっと動かすだけでも右腕に激痛が走り、何とか会社には行くことができたものの、手も浮腫んでいてパソコンを使うことすらできない状態になったので、午前中には手術をした病院の形成外科へ連絡しました。

手術が原因ではないと思っていましたが、整形外科にかかる際に気をつけることを確認したかったのです。

先生が一度診たいということで、診察してもらえるのは翌日になってしまいました。

私は仕事も早退し翌日は休暇を取ったのですが、翌日午後の診察を受けるまでは、地獄でした。

恥ずかしながら自力でご飯を食べることもできず娘に食べさせてもらい、お風呂は悲鳴を上げながら入り、夜は脈を打つような痛みに眠れなくなって、ロキソニンを飲んでなんとか眠れた状態でした。

ほんの少しでも動かすと痛むため、肘を少し曲げて手を内側へ庇う体勢をずっと保ったまま、もう服も自分で着ることもできませんでした。

形成外科で手術とは関係ないことがわかると、診断書をもらって整形外科へ行きました。

整形外科ではレントゲンを撮って症状を確定するのですが、レントゲンを撮る時に腕を動かすたび、涙が出てきました。

先生が診察しようと肩に手を伸ばした時、思わず「触らないで!!」と言ってしまうほど、手術後の痛みより何より、この痛みは今まで感じたことのある痛みの中で一番強い痛みでした。

原因

この「石灰沈着性腱板炎」とは日本整形外科学会のサイトによると、「肩腱板内に沈着したリン酸カルシウム結晶によって急性の炎症が生じる事によって起こる肩の疼痛・運動制限」ということです。

私は先生から、リンパの流れが悪くなり、通常であれば流れていくカルシウムが肩に溜まって石灰化してしまった状態だと聞きました。

私と全く同じ症状のレントゲン写真がこちらです。

石灰沈着性腱板炎

引用元:https://www.joa.or.jp/

うっすらと白い影になっている部分が石灰が溜まっている部分です。

40〜50歳代の女性に多く見られ、最初石灰はミルク状になっているのですが、慢性になると石膏状に固くなり、時々強い痛みが再発することもあるそうです。

治療方法

治療

私の治療は、太い注射針を肩(腱板)に刺し、沈着した石灰を破ってミルク状の石灰を吸引する方法でした。

これが・・・この強い症状の上を行くほどの痛さでした。

看護師さんに体を抑えられての処置だったほどです。

局所麻酔をすると聞いていましたが、麻酔をしているなんて全く思えませんでした。

終わった後はかなり楽になったように感じ、腕を動かすことができるようになっていましたが、痛みの余韻と、痛みのために今までずっと腕に力が入っていたことで、腕全体が筋肉痛に近い状態になっていました。

「明日も痛かったら来て」と言われましたが、翌日は痛みがかなり引いていたことと、処置が怖いこともあって様子を見ることにしました。

数日後にはすっかり痛みがなくなり、ホッとしました。

調べたところ、今回の治療は急性の場合の治療法でした。

石灰が石膏状になった慢性の場合、手術で摘出することもあるそうです。

治療も激痛でしたが、手術になるようなことがなくて本当に良かったと思っています。

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乳がん手術後のリハビリの重要性

石灰を吸引する処置を待っている間に看護師さんは、

「みんなリハビリしなくなっちゃうんだよね。」

「普通に生活する分には普通に動けて支障がないから、みんなリハビリしなくなるんだよ。でもそうするとリンパの流れが悪くなっちゃうんだよね。」

と言っていました。

この言葉で乳がんの手術後にリハビリをしなくなってしまうせいで、一定数の人がこの「石灰沈着性腱板炎」になっているんだということを知りました。

どこまでリハビリをすればいいのかわからない人も多いと思いますし、私も知らなかったし調べてもいませんでした。

今回調べたところ、日本乳癌学会のサイトに「3ヶ月以上継続して行うと術後6カ月くらいたったときの肩関節の動きがよく、リンパ浮腫は増加しない」という研究結果についての記載がありました。

明確な時期については書いてなかったのですが、手術直後だけでなく継続して行うと良いよう、とあったものの、「腋窩リンパ節郭清を行わなかった場合はリンパ浮腫の可能性は少ないと考えられるため、リハビリは基本的に必要ない」とも書いてあり、判断に迷います。

基本的に乳がんの手術後のリハビリは、リンパ浮腫と肩の関節可動域制限の予防のため行うようです。

私は腋窩リンパ節郭清を行っていないので、後者のため=今まで通りに動かせるようになるために行っていました。

どう考えても私がきちんとリハビリをしていたのは2ヶ月弱で、今までと同じ状態には戻っていません。

仕事もデスクワークで、腕をしっかりあげることもしていないのは、普通の人でも肩こりなどの原因になります。

今回のことでわかったのは、手術後のリハビリを怠ると、リンパ浮腫に限らず思いがけない病気になることもある、ということです。

そしてその病気の中に「石灰沈着性腱板炎」という、激痛を引き起こすものも含まれている、ということでした。

まずリハビリは3ヶ月以上行うこと、そしてその後もリハビリを継続するか、あるいはリンパの流れを良くする体操か運動を行う必要がある、と私は今痛感しています。

まとめ

アネモネ,希望

今回は乳がんの手術後にリハビリを怠ったせいで、私が「石灰沈着性腱板炎」を発症したことについて書きました。

乳がんのリハビリには「リンパ浮腫」「肩の関節可動域制限」の予防の意味がありますが、リハビリをきちんとすることでその他にも起こりうる恐れのある病気や怪我も予防しているということが、今回のことでわかりました。

リハビリは毎日繰り返し行うことから億劫になってしまいがちで、またいつまで続ければいいのかわからないものでもあります。

普通に生活できるようになれば大丈夫、ということではないと、私は身を持って知りました。

リハビリは最低3ヶ月以上続けること、そしてその後もリハビリを続けるか、リンパの流れを良くする体操や運動をしていくことが必要です。

私はこの後シリコンに入れ替える手術がありますが、同じ間違いを繰り返さないようリハビリを続けていきます。

乳がんの手術をされる方、またされた方がこの記事を読んで下さり、リハビリの重要性に気がついていただければ幸いです。

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